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 トウキ・・当帰

トウキ・・当帰

  トウキ・・当帰  
トウキ・・当帰
【基 原】
ニホントウキ(トウキ)Angelica acutiloba Kitagawa(セリ科Umbelliferae)の根で、通例湯通し乾燥したもの。またミヤマトウキ(ナンブトウキ、イワテトウキ)A. acutiloba Kitagawa subsp・iwatwnsis Kitagawaの根は南部当帰と呼ばれる。中国輸入品はカラトウキA. sinensis (Oliv.) Dielsの根。根頭部を帰頭、主根部を帰身、支根を帰尾(または当帰鬚)という。現在では一般に帰頭・帰身を分けず、帰身か全当帰を使用している。全当帰とは帰身・帰尾を含めたものである。


トウキ・・当帰
【出典】 神農本草経 中品
【別名】 乾帰(カンキ)
【成分】 精油成分のリグステライド(ligustilide)、ブチリデンフタライド(butylidene phthalide)、ニコチン酸、ビタミンB12そのほかを含む
【効能】 鎮痛、鎮静、駆瘀血薬、強壮
【薬理作用】 補血・行血・潤腸・調経
子宮の機能調整作用、鎮静・鎮痛作用、利尿作用、ビタミンE欠乏症に拮抗する作用、抗菌作用
このほか、潤腸して通便し、肝臓を庇護して肝グリコーゲンの減少を防ぐ。子宮の発育を促進する作用もあるようである。
【臨床応用】 当帰は臨床では最もよく用いられる薬物の一つである。補血・行血が必要なときには、血証(血瘀・血虚・出血などの総称)・虚証・表証・化膿症を問わず当帰を用いる
  1. 婦人科の主薬で、主に月経の調整に用いる。月経痛、無月経・月経不順に効果がある。要するに、月経を調整する方剤にはみな当帰を用い、その行血・鎮痛作用(子宮を収縮して瘀血を排出したり、子宮の痙攣を弛緩して鎮痛する)を利用する。
  2. 補血に使用する。動悸・健忘・不眠・精神不安などの心血虚の症状には、当帰で補血して鎮静する。脾虚のため、痩せて色つやが悪いときは、当帰で補血することによって脾を健運(消化吸収の促進)する。頭がふらつく・目がくらむ・耳鳴り・筋肉がピクピクひきつるなどの肝血虚の症状があるときには、当帰で補血することによって柔肝する。
  3. 瘀血に使用する。とくに打撲・捻挫などの外傷や血管の疾患によって生じた内出血・血流停滞・腫脹・疼痛に対して、去瘀の効能(循環を改善し鎮痛する)を利用して、打撲・捻挫や血栓性動脈炎の治療方剤に当帰を使用する。
  4. 腹痛に用いる。虚寒のため気血が瘀滞して生じた腹痛に適している。膿血性の下痢と腹痛をともなう赤痢の初期や婦人の便秘・腹痛などの気滞血瘀の症状にも用いる。
  5. 慢性化膿症に用いる。当帰の活血・補血・止痛の効能によって循環を改善し・抵抗力を増す。
  6. 腸燥による便秘に用いる。気血両虚のものに適する。
このほか、気血両虚のものの表証や瘀血による頭痛や関節痛にも、当帰の行血鎮痛の効能を利用する。
【性味】 味は甘・辛、性は温
【帰経】 心・肝・脾経
【処方】 四物湯当帰飲子当帰芍薬散(料)温経湯温清飲乙字湯加味帰脾湯加味逍遥散帰脾湯荊芥連翹湯五積散七物降下湯十全大補湯潤腸湯消風散疎経活血湯当帰四逆加呉茱萸生姜湯女神散人参養栄湯防風通聖散補中益気湯薏苡仁湯抑肝散加陳皮半夏竜胆瀉肝湯など
【用量】 常用量は9~12g。表証には少量で3~9g。補血して血液循環・便秘を改善するときには、やや大量で12~30g、最高60gまで用いる。たとえば産後の血虚に使用する当帰生姜羊肉湯の当帰の量は30g以上であるが、当帰補血湯の当帰は6gだけで黄耆の補助に用いられている(この方は“補血”という名がついているが、実際には補気することによって行血するのである)。
【使用上の注意】
  1. 古人は“帰頭は補血し、帰身は養血し、帰尾は破血し、全用すれば活血する”とか“帰頭は頭(頭部・頸部・胸部を含む)を補い、帰身は身を補い、帰尾は四肢を補う”と言っているが、実際にはこれにこだわる必要はない。臨床で使用するのも、市中での販売も一般に全当帰である。細分するときには、次の原則を参考にして選べばよい。血液循環の改善・解表剤への配合には全当帰を、血虚の治療・月経の調整には帰身を、打撲・捻挫の腫脹や疼痛(瘀血)・関節の運動障害には帰尾を使用する。
  2. 当帰を長期間あるいは多量に使用すると、咽喉痛・鼻孔の灼熱感などの虚火上炎(陰虚火旺)の症状があらわれる。このときは、処方中に金銀花・生地黄などの清熱涼血薬を適当に加えるとよい。
  3. 当帰には通便作用があるので、脾陽虚による下痢には使用すべきでない。平素軟便のものに当帰を使用する必要があるときには、白朮・茯苓を適当加えて当帰の潤腸通便の効果をおさえる必要がある。
  4. 当帰は温性であるので、肺陰虚・肝火旺・吐血が止まったばかりの患者などには使用すべきでない。
  5. 当帰は活血の効能が強いので、性器出血過多には使用しない方がよい。
【産地】 日本(奈良、富山、群馬、茨城、北海道ほか)

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