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  虚症の治療法補気・補血・補陰・補陽法
  気の機能不足によってもたらされる病証が気虚証です。気の推動・温煦・防御・固摂・気化機能の失調として現れます。その症候は、疲労倦怠、息切れ、めまい、立ちくらみ、自汗、舌質淡苔白、脈無力などで、不足する気の種類によってその他の症候が加わります。

 人体の日常的な生理活動を維持する気は、脾の遷化機能によって飲食物から得られているので、脾気虚が気虚の基本的病態です。その他の臓腑の気虚としては、肺気虚と心気虚がしばしば見られます。

 補気法には、補気薬を主薬として選択します。人参、黄耆、山薬、白扁豆、白朮などで、これに袪湿健脾の茯苓、蒼朮、半夏や理中気の枳実、陳皮・木香など、調和脾胃の大棗、甘草、生姜を配合します。脾胃の虚寒がみられれば乾姜、山椒、呉茱萸などの温脾薬を、中気下陥を伴えば、昇挙脾気の黄耆、人参、升麻、柴胡を用います。

 補気法の主要な方剤には、六君子湯・補中益気湯などがあります。
  虚症の治療法補血
  血の機能不足による病証が血虚証です。血の栄養・滋潤・寧静機能の失調として現れ、その症候はめまい、耳鳴、顔面は蒼白で艶がない、眼がかすむ、爪が固くかさつき変形する。手足が痔れたり知覚鈍麻をきたし、筋肉が痙撃する。月経は出血量が少なく色が淡い、希発月経や閉経。不眠・夢が多い、心惇不安、健忘。舌質淡苔自、脈弦細などです。

 血と臓腑の関係を整理すると、心(血脈を主どり、血の全身への運行を担当)、肝(蔵血機能があり、全身の血流量を調節)、脾(血の生産の場)の三臓との関係が重要です。したがって、治血には、心・肝・脾の調理が必要なことが多いのです。

 血虚証に対しては、補血法を用います。当帰、熟地黄、白芍、丹参、阿膠、何首烏などの補血薬を中心にして、補気健脾の茯苓、白朮、黄耆、灸甘草などを配合します。

 補血法の主要な方剤には、四物湯・帰脾湯などがあります。
  虚症の治療法補陰
  陰虚証とは、精・血・津液などの物質(陰液と総称)の消耗あるいは機能不足により、臓腑組織を滋養・濡潤できなくなり、また陰陽の平衡を維持できなくなり、陽気の克盛をきたし、虚性の機能興奮状態をもたらした病態です。陰虚証は腎の機能と密接に関連し、陰虚証の基本病証は腎陰虚証です。その症候は、腰や膝がだるく痛む。耳鳴り、不眠。遺精や夢精。月経の失調。痩せ、潮熱盗汗、手掌・足底のほてり。咽の渇き、大便乾燥。舌質紅、苔少乾燥、脈細数などです。

 また、腎精不足証も広義の腎陰虚証に包括されます。小児であれば成長・発育の遅れ、成人では生殖機能の不全や早い老化、老人では老化による諸病変が現れます。 病期が長引けば、病変は腎から五臓の陰分に波及します。逆に、他臓の陰虚から全身の陰陽平衡の失調をきたし、陰陽の根本である腎に病変が及ぶ場合もあります。他の臓腑では、肝陰虚・心陰虚・肺陰虚・胃陰虚などが臨床上よく見られます。

 陰虚証に対しては、補除法(滋陰法)を用います。主薬として選択されるのは、滋補腎陰の薬能をもつ熟地黄、くこ、亀板、女貞子、天門冬などです。また、腎精を補填する填精の薬物、紫河車、亀板きょう
鹿角、冬虫夏草などを用いることがあります。さらに、強筋健骨の杜仲、桑寄生、続断、狗脊、牛膝、骨砕補などを配します。虚熱に対しては、滋陰降火の知母、黄柏、地骨皮、玄参などを用います。

 補陰法の方剤は六味地黄丸が基本となります。六味地黄丸を基礎とした知柏地黄丸・杷菊地黄丸などが用いられます。
  虚症の治療補陽法
  陽虚証とは、陽気の虚損により温煦・推動・気化作用が低下して、身体の機能の減退と熱量不足の病理的状態をまねいた病態であり、寒象を呈します。気の生産にあずかる脾(後天之本)と諸陽の本といわれる腎(先天之本)の機能の衰退と密接な関係があります。すなわち陽虚は脾腎の陽虚が主です。

 陰寒が旺盛となると、臓腑・諸器官の活動が低下し、血や津液の運行が緩慢となります。腎陽虚証は、加齢による生命力の衰え、生殖機能・水分の代謝失調、腰や下半身の冷えを主徴として、腰や膝がだるく痛む、寒がりで手足が冷える、めまい、精神萎靡、陽萎、宮寒不妊、大便久泄、完穀不化、五更瀉、小便不利あるいは逆に多尿、夜間頻尿、浮腫、腎不納気による息切れや喘、舌質淡苔自、脈沈弱の症候を呈します。

 陽虚証に対しては、補陽法(壮陽法)を用います。辛温・辛熱・甘温の薬性の温腎補陽の薬物を主薬として用います。附子、肉柱、補骨脂、巴戟天、鹿茸などです。また、腎陰と腎陽は相互に依存・転化する関係にあり、腎精は腎陽が化生するもとなので、熟地黄、クコ、亀板、何首鳥、桑堪、トシシ、山茱萸などの補陰益精の品を配合します。腰膝痛や骨租髭症には、強筋健骨の杜仲、桑寄生、続断、牛膝などを、陽萎には、淫羊零、陽起石などの温腎壮陽薬を、喘や息切れには納気の蛤かい、五味子、沈香、補骨脂などを、浮腫や小便不利には、茯苓、猪苓、沢瀉などの利水薬を配合します。

 補陽法の基本方剤は、八味地黄丸です。

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