本文へスキップ

中医学漢方講座

治則

疾病には、発生から治癒までの全経過を特徴づける根本的な原因があり、個体差・環境・治療などのさまざまな要因によってきまる多くの状態推移がある。弁証ではこの根本原因と当面の状態を弁明し、治則ではこれにもとづいて最も有効な治療手順をきめます。
 具体的な治療手順をきめるにあたっては、以下に挙げるさまざまな原則を掌握して、臨機応変に対処する必要があります。

本治と標治

「本」と「標」は相対的な概念で多くの意味を含むが、一般的に言うと、「本」は疾病の本質で「標」は外面にあらわれた症状である。また、正気と病邪の関係について言えば正気が本で病邪は標、病因と症候では病因が本で症候が標、病変部位に関して
は内臓が本で体表部が標、疾病の新旧については元来の疾患(旧病)が本で新たな疾患(新病)は標ということになります。
すべての疾患を通じ、その発生・進行・消滅の過程においてさまざまな症候があらわれますが、これらの症候は疾患の現象すなわち「標」を示すもので、本質すなわち「本」ではありません。四診によって症候を十分に分析し、外面にあらわれた現象から根本原因と状態を把握して、本質をはっきりと弁明することが必要であります。中医学では、このことを「病を治すには必ず本を求む」と述べています。
●急なれば則ちその標を治し、緩なれば則ちその本を治す
●標本同治 

扶正と祛邪

扶正と祛邪は邪正闘争を解決する治療法であす。疾病が治癒するのは基本的に正気の働さに依存し、薬物も正気を通じて効果があらわれます。扶正は正気を補充するもので、祛邪は病邪を除去することによって正気を保護するためのものです。扶正には補法を用い、祛邪には攻法を用います。
扶正・・・正気の補充
祛邪・・・病邪の除去

陰陽の調整

陰陽失調を調整することですが、陰陽失調には大きく分けて陰陽偏盛と陰陽偏衰の2つの状況があり、陰陽偏盛は邪実(実証)に、陰陽偏衰は正虚(虚証)に相当します。

加減

季節、環境、地域、年齢、個体差に応じて治療法を適宜修正することがある