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中医学漢方講座

五行説

五行説は古代中国思想の一つで、世の中のあらゆるものは五つの属性に分類することができ、五つが相互に密接な関係をもっているという思想です。
5つのグループは自然界に存在する木・火・土・金・水を代表としています。
中医学では五行説を人体に応用しています。
  五臓 五腑 五窮 五主 五華 五色 五味 五季 五志
小腸 血脈
肌肉 土用
大腸
膀胱
もともと人間は、自然の陰陽に通じ合うもので、生命は陰陽の交わりに誕生します。地上の九つの州から人体の九竅(ここのつのあな)目・耳・口・鼻・陰部・肛門、五臓十に関節まで、すべて天の気に通じるのです。 天の陰陽は、地の五行(木火土金水)を生じ、地の五行は手の三陰三陽に応じます。この天・地・人相応の規則に逆らいますと、邪気が体内に侵入しやすくなってきます。人体の陽気は、太陽と同じようなもので、万が一太陽の運行に異常が生じましたら万物は生存できなくなります。人体の陽気に異常があれば生命活動ができなくなってきます。陽気は太陽と同じように、朝よみがえり、人体の外に出てからだを守ります。昼頃は、陽気が一番旺盛で太陽が沈んでいくと体表の陽気は、少なくなり毛穴は閉じてしまいます。陽気は夜に体の奥にいますので、夜は体を休め霜や露の冷えを避けるべきです。朝昼夕におけます陽気の特徴を無視し続けますと、体が外邪におそわれやすくなります。

五味

陰気は水穀の五味から生成します。五味は臓器を養いますが、そのとりすぎは臓器を損傷します。「酸味」をとりすぎますと肝気過剰になり脾気が損傷されます。「苦味」をとりすぎますと脾気が詰まり消化不良や腹部膨満感がおきてきます。「甘み」をとりすぎますと胸が焼け顔色が悪くなり人の働きが悪くなります。「辛み」をとりすぎますと熱傷が生じ精気が消耗されます。「鹹(しおからい)」味をとりすぎますと腎気過実のため腰が傷みます。五味をバランスよくとれば、骨格が堅固し、筋肉が柔軟で、気血が流通し、皮膚のきめが細かくなります。

陰陽

陰陽について、陽は表面・上部に集中し人体の九竅(ここのつのあな)うちの上の竅から出ます。陰は内面、下部に集中し下の竅から出ます。火は熱い性質があり陽です。水は寒い性質があり陰です。同じように男性は陽で女性は陰です。陰陽は互いに影響し合い、水は火を消し、火は水を蒸発させます。陰陽は互いに強調し合うべきで、陰は内で陽を使い、陽は外で陰を守ります。もし陰気が強すぎますと、陽気の不足を起こし、陽気が強すぎますと陰気の不足を起こします。

五臓の考え方

肝の病は、だいたいが夏に治ります。夏に良くならなければ秋にひどくなり一日うちでは夕方に悪化します。風は禁物です。鬱積した肝気に対して発散作用のある辛みの薬を飲むとよく、翌春にはだいたい良くなってきます。

心の病は、だいたいが夏の土用に治ります。夏に良くならなければ冬にひどくなり1日のうちでは夜に悪化します。熱すぎは禁物です。心気の緊張に対し、柔らげる作用の鹹味の薬を飲むとよく、翌夏には少しずつ良くなっていきます。

脾の病は、だいたいが秋に治ります。秋に良くならなければ翌春にひどくなり1日のうちでは朝に悪化しますが午後には軽くなってきます。飽食は禁物です。弱った脾気に対し、脾を補う甘味の薬を飲むとよく、翌夏の土用には少しずつ良くなっていきます。

肺の病は、だいたいが冬に治ります。冬に良くならなければ翌夏にひどくなり1日のうちでは正午は悪化します。寒冷は禁物です。発散した肺気に対し引きしめ作用の酸味の薬を飲むとよく、翌秋には少しずつ良くなっていきます。

腎の病は、だいたいが春に治ります。春に良くならなければ夏の土用ににひどくなり1日のうちでは午後は悪化しますが夜半には軽減します。乾燥はは禁物です。弱まった腎気に対し、固める作用の苦みの薬を飲むとよく、冬には良くなっていきます。

五穀・五畜・五果・五菜

薬と食物には、五種類の味があり各味にはそれぞれの効能があります。五臓の病は自然の刺激と深い関係があり、五味をとる具合に大きく左右されます。

金は、木を刈り倒す。(金は木を尅つ)
水は火を消す。(水は火を尅つ)
木は土の養分を取る。(木は土を尅つ)
火は金を溶かす。(火は金を尅つ)
土は水をせき止める。(土は水を尅つ)

中国で古くから人々が学び、今も受け継がれている、生活の基本的な考え方です。人の「生」はすべて五つの要素のバランスから成り立っており、このバランスを保つため、つまり健康に生活するために、自然のリズムにそった生活を勧めています。この中で体の機能について説いたのが、「五臓」です。