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中医学漢方講座

寒熟

寒熱は、症候の性質を示すもので、自然界の寒冷現象に類似する症候を寒証、温熱現象に似た症候を熱証といいます。治療上 、寒証に対しては温熱薬を、熱証に対しては寒涼薬を用いて、寒・熱に偏った状態を正常にひきもどすための重要な弁別法です 。

寒証

●実寒(寒盛)
 寒邪の侵襲によって生じた実証で、実証に相当します。病原微生物・寒冷の環境・生冷物の飲食などの外因によって発生した
感冒・痺痛・胃腸疾患などがこれにあたります。
★表寒
(症状)
悪寒・発熱・頭痛・関節痛・咳蠍・臭みずなど感冒や感染症の初期にみられる症候です。
★裏寒
(症状)
急激に発生する腹痛・腹部の冷え・膨満感・嘔吐・よだれが多い・下痢あるいは便秘・顔面蒼白・寒けなどの症状で、甚だしい 場合にはチアノーゼ・四肢の冷えなどがあらわれます。(急性胃腸炎などに相当し、冷えや寒冷物の摂取などによって発生します。)

●虚寒(陽虚)
 陽虚による寒証で、やはり裏寒の範疇に入ります(裏虚寒)。慢性疾患・老衰・先天的な虚弱などにみられ、全身の機能低下 ・同化作用の減退・循環不良・エネルギー代謝の低下・脳の興奮過程の減弱などによって発生した寒証です。
(症状)
四肢の冷え・寒がる・顔色が青白い・寒冷をきらい温暖を好む・°渇がない・尿量過多・泥状〜水様便・元気がない・動きたが
らない・口数が少ない・食欲がない・消化不良で、寒証と虚証の症候が同時にみられることが特徴です。

熱証

顔面紅潮・あつがる・温熱をきらい寒冷を好む・口渇・多飲・冷たい飲物を好む・尿が濃い・便が硬いなどの熱性の症候のこ
とです。熱証は、炎症・機能の過亢進・異化作用の亢進・脱水などによって生じると考られます。原因によって、実熱と虚熱に
分かれ、実熱は症候と治療法の違いから表熱と裏熱に区別されます。

実熟

●実熱(熱盛)
熱邪の侵入によって生じた熱証で実証に相当する。病原微生物の感染・温熱の環境による炎症・機能亢進、ならびに精神的な原
因にもとづく自律神経系の過亢進状態のことです。
★表熱
(症状)
軽度の悪寒あるいは熱感・頭痛・咽痛・目の充血・発熱などの症候で、感染症の初期にみられます。
★裏熱
 裏熱が発生する原因には、
 @表寒が進行して裏に入り熱邪に変化した場合(寒邪の化熱)で、経過は遅い。
 A表熱が進行して裏に入った場合で、経過は早い。
 B精神的ストレスにより自律神経系の過冗進を生じた場合(肝欝化火) などが考えられます。
(症状)
  一般には、@Aを「裏熱」と呼びます。
 熱感あるいは悪寒・発汗・°渇多飲・冷たい飲物を欲しがる傾面紅潮・口臭・尿が濃い・硬い便あるいは便秘、甚だしい場合
は出血・意識障害がみられる。(全身的あるいは内臓の炎症で軽度の脱水をともなう症候と考えられる)

虚熱

陰虚にともなう熱証で、やはり裏熱の範疇に入ります。慢性消耗性疾患、脱水などにともなう異化作用の亢進・自律神経系の亢進・自律神経系機能の亢進・脳の抑制過程の低下などによる代謝性の熱症です。特徴は、津液不足による乾燥状態で、虚証と熱証の症状が同時にみられます。

(症状)
体の熱感(とくに午後)・手のひらや足の裏のほてり・のぼせ・いらいら・不眠・ねあせ・口渇・水分はあまり欲しがらない・喉や唇の乾燥・皮膚につやがない・汗があまりでない・やせる・疲れやすい