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  老化によって起こる更年期障害の症状と治療
 
生命活動の基本物質が不足して起こる更年期障害(腎陰虚)

 老化によって腎気がおとろえると、腎そのものの陰陽(精と気)の協調が失われ、「腎陰虚」や「腎陽虚」といった病態が起こります。
 たとえば腎陰虚では、頭のふらつきやのぼせ、イライラ、不眠、耳鳴り、口の乾燥、のどの痛み、ほおの紅潮、腰がだるく無力、手足の熱感、午後の発熱などが現れ、舌は紅く苔は少なく、脈が細く脈拍数は多くなります。このときは、腎陰を補う「六味丸」を使います。
 しかし、すぐにほかの臓器を傷つけるので、多くの場合に、腎を含む複数の臓器の病変が同時に現れます。

水分の不足により機能が亢進して起こる更年期障害(肝腎陰虚)

 肝に必要な血や津液の物質的基礎となるのは、腎陰(精と津液)です。そのため、腎陰が不足すると、肝の血や津液も不足します(「肝腎陰虚」)。
 月経異常、頭のふらつきや脹り、めまい、視力低下、耳鳴り、不眠、口やのどの乾燥、手足の熱感、腰やひざのだるい痛み、舌が紅く乾燥ぎみ、脈が無力で細く弦を張ったようになるといった症状には、肝と腎の陰を補い熱を除く「杞菊地黄丸」を使います。

火と水のバランスがくずれて起こる症状(心腎不交)

 腎陰は心の機能(心陽)が亢進しすぎないようにおさえる一方、心陽は腎を温め、腎陰が正常に働くよう助けます。心と腎は、火と水の関係のように、互いに協調し、バランスを保って活動しているのです(「心腎相交」)。
 更年期になって腎陰が不足すると、心陽の働きを正常に調節することができなくなり(「心腎不交」)、心陽が「心火」となって激しく燃えあがるため、イライラや不眠、強い動悸、手足の熱感などの症状が現れます。
 この場合は、心火を除き心と腎の陰を補う「黄連阿膠湯」や「天王補心丹」を使うといいでしょう。

呼吸器症状をともなう更年期障害(肺腎陰虚)

 腎と肺は呼吸を通じて密接な関係にあります。そのため、肝腎陰虚によって生まれた火(熱)が上昇して肺を傷つけると、肺のうるおいが失われることがあります(「肺腎陰虚」)。
 肝腎陰虚の症状に、乾いたせきや息切れ、口やのどの乾燥などをともなうときは、肝と腎の陰を補い肺をうるおす「麦味地黄丸」がいいでしょう。

熱が起こり、症状が激しくなる(相火妄動)

 五臓を温め、全身の活動を円滑にする腎陽(気)の生理機能を「相火」といいます。相火は腎から肝に移り(「肝腎相火」)、全身を温めて、からだに必要な物質代謝を行います。
 陰虚が進んで腎陰の損傷が激しくなると、調節を失った相火が異常に亢進し、生理的な火から病理的な「邪火」に変化して、からだの上部に向かったり、脾胃の消化・吸収機能を妨げたり、気血や津液の流れを異常に亢進させ、乱すようになります(「相火妄動」)。
 水分代謝が乱れ、津液を熱して目にみえないほど小さな滋養物質に変えて全身に送ること(「蒸騰気化」)ができなくなるため、頭痛やめまい、視力低下、耳鳴り、難聴、イライラ、怒りっぽい、手足の熱感、腰や四肢のだるい痛みなどの症状が激しくなり、舌が紅く乾燥し、脈拍数が多くなります。
 肝腎陰虚から相火妄動の熱症状が起こるときは、肝と腎の血や津液を補う「知柏地黄丸」を、心腎不交から相火妄動の熱症状が起こる場合は、心火を除き心と腎の陰を補う黄連阿膠湯がいいでしょう。

生命活動の原動力が不足して起こる更年期障害(腎陽虚)

 反対に、全身の生命活動の原動力である腎陽(気)が不足する(腎陽虚)と、顔面蒼白、元気がない、冷え、腰や下肢がだるく無力、頻尿、排尿困難、むくみ、軟便あるいは泥状便といった症状が現れ、舌がボテッとして淡い色になり、白い苔がつくほか、脈が無力になります。
 このような場合は、腎陽を補う「八味地黄丸」を、冷えや疲労などが激しいときは「右帰飲」を、むくみが強いときは「牛車腎気丸」を使います。水分代謝が特に悪く、強いむくみに加えて、脾の機能低下(「脾腎陽虚」)によって生まれた不要な水(「痰飲」)が、排尿や排便の異常を引き起こす(「陽虚水泛」)ときは、腎陽を補って水分代謝を高め、不要な水を除くため、「真武湯」に、「五苓散」を加えて使うといいでしょう。
   
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