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  胃のつかえと漢方

中医学からみた胃のつかえ


最近、胃のあたりがつかえる。脹ったり苦しくて、気分が悪い。胃腸薬を毎日服んでいるけれど、すっきりしない・・・。胃のつかえは、消化管が正常に運動できなくなって起こると考えられていますが、そのメカニズムはまだはっきりしません。

中医学からみた胃のつかえ
慢性的に起こる胃のつかえの診断と治療
 
   
1 消化吸収機能の失調が胃のつかえを引き起こす
  中医学では、胃のつかえを「心下痞」といいます。心下はみぞおちのあたりを、痞はつかえて苦しい状態をいい、痛みを伴わないのが普通です。胃がつかえるのは、飲食物を消化吸収する「脾胃」の機能が低下して失調し、停滞するからです。
 飲食物を受け入れて消化し、生命活動に欠かせない精微な滋養(「気・血・津液・精」)をつくり、吸収して全身に送り出す脾の機能を「昇清」といい、余ったかすをからだの下へ送る胃の機能を「降濁」といいます。このように、上昇と下降という正反対の機能を持つ脾と胃は、常に協調し統一されて活動しています。
 したがって、脾と胃のどちらかの機能がなんらかの原因で失調すると、もう一方の機能も停滞して、昇清が低下するとともに降濁が上に向かって逆行したり、昇清せずに降濁が促進するなど、さまざまな消化吸収障害が発生するため、胃のつかえが起こります。
2 さまざまな原因で消化吸収力がおとろえ胃のつかえが起こる
  胃のつかえの原因となるのは、「食滞」をはじめ「湿・飲・痰」「肝鬱気滞」「胃熱」「脾胃虚弱」です。
 中医学では、発病因子によって症状が起こることを「実」といいます。また、からだを構成する基本物質(気・血・津液・精)、生理機能及び抵抗力(「正気」)の虚弱(「正虚」)によって滋養が不足し、生理機能や抵抗力が低下するために内臓などの機能が失調して症状が起こることを「虚」といいます。食滞と湿・飲・痰、肝鬱気滞、胃熱によって起こる胃のつかえは実、脾胃虚弱によって起こる胃のつかえは虚に分けることができます。実の胃のつかえは急に起こって一時的なものが多く、虚の胃のつかえは繰り返したり慢性的に起こることが多いのが特徴です。
 ただし、それぞれの病因は互いに関係が深いので、実際には虚と実がからみ合う「虚実挟雑」の状態で胃のつかえが起こるケースが多く見られます。例えば、食生活が不摂生な人は脾胃の機能を傷つけやすく、また、おいしいものや脂っこく味の濃いものばかり食べていると、脾胃の機能が十分に発揮できなくなって、水分代謝が悪くなります。そのため、からだに必要のない有害な水分(湿・飲・痰)が生まれ、これが脾胃の昇清と降濁を妨げる原因をつくります。
3 早めにしっかり治療し慢性化を防ぐ努力を
  一時的に起こる実の胃のつかえは、発病因子を除けば確実に治すことができます。しかし、放置したり治療を誤ると、脾胃の機能が徐々に傷つけられます。健康に気をつけることによって正気が回復すると一時的に軽快しますが、再びさまざまな要因によって胃のつかえがくり返し起こるようになります。ですから、早めに確実な治療を行うことがたいせつです。
 一般に、実の胃のつかえでは食欲があまりおとろえず、みぞおちのあたりを押さえるのをいやがり、便秘気味で、弦を張ったような脈をふれます。一方、虚の胃のつかえは、食欲不振で便通があり、押さえると和らぎ、脈に力がないのが特徴です。このほか、症状が寒と熱のどちらの状態に偏っているのかを見分けることも、治療の上で大きなポイントとなります。
4 食生活の不摂生が胃のつかえを起こす
  脂っこいものや辛いものを食べ過ぎたり、生ものや冷たいものをとりすぎる、あるいはおいしいものばかり食べる、酒を飲み過ぎるといったことが原因となって脾胃の機能が傷つけられると、消化吸収力が低下し、飲食物をからだに必要は滋養につくり変える働きが不十分となってかすがたまるので、胃のつかえが起こります。これを「食滞」といいます。
 食欲はあるものの、胃のつかえ感があり、みぞおちのあたりが硬くなって押さえるとうずき、卵が腐ったような臭いのするゲップ・胸やけ・酸っぱい水がこみ上げる・吐き気・嘔吐・便秘などの症状をともない、舌に厚くべっとりとした苔がついて、滑らかな脈をふれます。
このような場合は、脾胃の機能を調えて消化吸収力を高め、残った飲食物を除き、脾胃の機能を調えて有害な水分を除く「平胃散」に「二陳湯」を加えて用います。
また、のどが渇く・尿が濃い・下痢・黄色くべっとりとした舌苔・速い脈をふれるなど、熱症状が加わるときは、さらに熱を除く力の強い山梔子や黄芩、大黄を加える必要があり、「防風通聖散」を使います。
さらに、大病のあとや老化あるいはふだんから胃腸が弱いなどが原因で、疲れやすい・元気がないといった「脾虚」の症状があるときは、脾胃の機能を補いながら残った飲食物を除く「六君子湯」に「平胃散」を合わせて使うといいでしょう。
5 水分代謝の異常によって有害な水分が生まれ胃のつかえを起こす
   食生活の不摂生や、甘いものや脂っこいものを食べ過ぎるなどが原因で脾の機能が損なわれると、消化吸収力が低下して水分代謝がうまく行われなくなります。そのため正常な水液(津液)が停滞し、からだに必要のない有害な水分(湿)に変わります。この湿が集まったものを飲といい、さらにからだに熱によって煮つめられたものを痰といいます。したがって、湿・飲・痰は、基本的には同じ性質をもつ発病因子といえます。
 湿・飲・痰によって脾胃の機能が停滞するために起こる胃のつかえは、いずれもめまい・食欲不振・吐き気・嘔吐・みぞおちを押さえるのをいやがる・せき・たん・倦怠感・べっとりとした舌苔・滑らか脈などの症状をともないます。しかし、それぞれの随伴症状は多少異なるので、それをもとにして方剤を使い分けます。
 湿が原因の場合には、頭が重い・むくみ・下痢などを伴い、舌苔が薄い白色になります。治療は、発散したり利尿によって湿を除き、脾胃の機能を調和する「藿香正気散」や「五苓散」などを使います。
 飲が原因でゲップ・下痢・腹が鳴るなどの症状をともなう場合は、飲を除きながら脾胃の機能を調える「六君子湯」や「人参湯五苓散の併用」がいいでしょう。
 痰による胃のつかえは、めまい・頭痛・吐き気・嘔吐・ゲップ・下痢・舌苔が厚くべっとりとしてやや黄色を帯びるなどの症状をともないます。このときは、痰や湿を除く「平胃散」と「二陳湯」を合わせたものを使います。
 さらに、のどが渇く・尿量減少・舌苔が灰色がかった黄色になるといった熱症状(「湿熱」)を伴うときは、湿と熱を除く「半夏瀉心湯」などが効果的です。
6 急激な感情の変化や鬱積が胃のつかえを引き起こす
  精神情緒の変化に応じて脾胃の消化吸収機能を調え、滋養の流れを調節するのは「肝」で、この機能を「疏泄」といいます。
激しいストレスを受けたり、怒りや悲しみ、驚きや悩みなどの感情が発散されずに鬱積すると、肝の機能が乱れ(肝鬱気滞)、脾胃に影響を及ぼします。すると、脾の機能が停滞して昇清せずに下に向かったり、胃の機能が停滞して上に逆行するために、胃のつかえをはじめ、吐き気・嘔吐・下痢などの症状が起こります。
 イライラしやすい・怒りっぽい・胸の脇が脹って気分が悪い・ため息・呼吸の乱れ・乳房の脹り・胸やけ・食欲不振・ゲップ・みぞおちを押さえるのをいやがる・吐き気・嘔吐・舌に白く薄い苔がつく・弦を張ったような脈をふれるなどの症状をともなうときは、肝の機能を回復して脾胃の消化吸収機能を正常にする「大柴胡湯」などを使います。めまい・顔面紅潮・口の乾燥・月経過多などの熱症状を伴うときは、熱を冷ます働きももつ「加味逍遥散」がいいでしょう。

7 熱によって胃が傷つき消化吸収力が落ちると胃のつかえが起こる
  暑い環境にからだが対応できなかったり、感冒治療の時期を誤り、発汗剤が不適当だったり、もともと水分が不足気味(「陰虚」型)の人が辛いものや味の濃いものを食べ過ぎるなど、さまざまなかたちで熱が胃を傷つけると(胃熱)、胃のつかえが起こるようになります。
 口臭・胸やけ・ゲップ・酸っぱい水がこみ上げる・みぞおちを押さえるのをいやがる・のどが渇いて冷たいものを飲みたがる・食欲はあるが食後につかえがひどくなるなどの症状をともない、舌が紅く黄色くべっとりとした苔あるいは黄色く乾燥した苔がつく場合には、熱を冷まして脾胃の機能を回復する「三黄瀉心湯」を使います。
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