民間薬健康法

中国では不老長寿の妙薬

しいたけは風味がよく、栄養価もすぐれ、菌食の王様です。昔はしいたけは貴重品で、お正月のごちそうやお客様のお吸い物などに使われましたが、現在は日本全国どこでも人工栽培が盛んで、いつでもどこでも生しいたけが豊富に食べられるようになりました。干ししいたけは日本の特産物で品質がよく、現在、輸出農産物の第一位で、中国をはじめ世界各国にたくさん輸出されています。
 漢方の本場中国では「医食同源」で、「日常の食物が健康のもとであり薬である」という考え方のようですが、肉や油をたくさん使う中国料理にしいたけは非常に多く使われ、昔から不老長寿の妙薬として珍重されています。
 約600年前の明の時代の学者の本の中に、「椎茸は気を益し、飢えず、風を治し、血を破る」という字句があります。これを現代風に解釈しますと、「しいたけはスタミナがつき、保健食として好適で、万病のもとであるカゼに効き、血行をよくし、血液をきれいにする」ということになります。
 現在では、コレステロール、血圧の低下、ビタミンB12、D2、ビフィズス菌活性化、食物繊維など、しいたけのさまざまな効用が明らかにされ、加えてしいたけの制ガン物質の研究も盛んに行われております。

ダイエットフードとしてのしいたけ

しいたけはおいしいだけでなく、低カロリー食品で、すぐれたダイエットフードです。しいたけには、水分を除いて7〜8%の粗繊維と、50〜60%のヘミセルロースが含まれています。人間にはこれを分解する酵素がないので、大部分は利用されないと考えられます。
 これまで、消化されないこれらの繊維質は全く無価値とされてきましたが、最近アメリカを中心として食品繊維の重要性が強調され、大腸ガン、便秘、糖尿病、胆石症、動脈硬化などの予防に重要な生理作用があることが明らかにされてきました。
 食品繊維は水の吸着作用が高く、抗便秘性があり、有害物質の排泄を高めるのに役立ちます。また、コレステロールおよび糖の吸収を妨げる働きもあります。
 最近、日本人の食事が西欧型になりつつあり、食物繊維の摂取量が低下しておりますが、今の2〜3倍はとる必要があると言われています。
食物繊維の豊富な野菜、海藻、こんにゃくなどと同様、しいたけやきのこ類もたくさん食べましょう。
 また、しいたけの中には、よい腸内細菌であるビフィズス菌を活性化する物質が含まれていることが、最近の研究で明らかになりました。

コレステロール、高血圧の予防・低下

しいたけは、コレステロールや高血圧の低下に、すばゝりしい効果があります。これはしいたけに含まれているエリタテニンという物質と、食物繊維およびエルゴステロールの協同作用によるものと考えられます。
またこのほかに、しいたけの中には血圧を下げる物質も含まれていることが、最近明らかになりました。
 油を使う料理やすき焼きなどの肉料理にしいたけを入れるのは、先人の知恵といえましょう。また、干ししいたけを数個水につけ、そのもどし汁を毎朝飲むと、血圧やコレステロール値が下がったという体験者がたくさんおります。また、腎臓病にもしいたけが効いたという病院の治療例もあります。

ビタミンDの宝庫

しいたけはビタミンB12を含む数少ない食品の一つですが、日光や紫外線に当てると、きのこの中のエルゴステリンがビタミンD2に変わります。
ビタミンD2は骨や歯をじょうぶにする働きがありますが、これを含んでいる食品は少ないので、しいたけはこの点たいへん貴重な食べ物であるといえます。
 妊娠中の人や、発育盛りのお子さんや、日光に当たる機会の少ない工場やビル街で働くサラリーマンはD2が欠乏しがちですので、しいたけを食べてこれを補給しましょう。ご家庭の日当たりのよい場所で、しいたけのひだに20〜30分日光(紫外線)を当ててやると、ビタミンD2をさらに豊富にすることができます。

しいたけの制ガン作用

しいたけに多量に含まれる多糖体レンチナンには免疫増強作用があり、これを注射するとガン細胞の増殖に顕著な抑制効果を示します。またしいたけのウイルスは二本鎖のリボ核酸で、インターフェロン誘起能があり、動物のウイルス感染や移植ガンに顕著な効果があり、目下研究が進められています。

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