民間薬健康法

酢は昔から医療に使われていた

酢は昔から調味料としてなくてはらないものでしたが、それよりも万能薬として痛気の予防や治療、健康増進に広く用いられてきました。
 わが国に、酢作りの技法が中国から伝来したのは、応神天皇の時代でした。江戸時代になって米酢の醸造法が確立しましたが、大正中期ごろから、かす酢や合成酢の開発が進み、また戦時中には、米を米酢の原料として使用することが禁じられたため、本来の純粋な米酢は忘れ去られていました。しかし、酢の薬効の源である有機酸やアミノ酸の含有率が最も多いのは、米だけを原料にしている純粋米酢です。

酢はなぜよいのか? 何に効くのか?

私たちの体は、弱アルカリに保たれているときが、生理的に見て、いちばん健康な状態です。とかく食べて口においしいものは酸性食品に多く、こればかりを食べていると、疲れやすい、病気に対する抵抗力が落ちる、皮膚がはれる、傷が治りにくい、などの症状が出てきます。 体を弱アルカリに保つには、酢や、レモンなどの柑橘類を食べると効果があります。

エネルギー源になるクエン酸が多く含まれている

私たちが食べた食物のうち、主として炭水化物は、消化吸収されて焦性ブドウ酸になります。この焦性ブドウ酸は、スムーズにいくとクエン酸になり、これを基点にして、幾つかの酸に変わり、回転しながら水と炭酸ガスに分解されてエネルギーとなります。このサイクルが、イギリスの学者クレーブスによって解明されたのは、まだ二十余年前のこと。このクレーブスサイクルが順調であれば健康でいられますが、疲れや
ストレスがたまると、焦性ブドウ酸は乳酸という疲労物質になり、血液が酸性化して、疲れを覚えたり、筋肉のこりや動脈硬化を起こし、血行障害や酸素不足も加わって、さまざまな慢性病を引き起こします。ところが、酢や柑橘類は、それ自体にクエン酸が多く含まれていますから、サイクル過程を通らずに、すぐクエン酸としての働きをあらわすわけです。そのため体内に入るとただちに吸収され、そして代謝されます。新陳代謝が盛んになれば、内臓の働きもスムーズになり、乳酸などの疲労素が排除されて、疲れもとれ、動脈硬化や肝臓病、胃カイヨウ、慢性胃炎、膀胱炎、便秘、肩こりなどを予防し、治すこともできるのです。

強い殺菌作用 

酸を大きく分類すると、かす酢、米酢、ぶどう酢、りんご酢、麦芽酢などの醸造酢と、氷酢酸をベースにした合成酢がありますが、合成された酢は体に有害です。やはり玄米から作られた純粋米酢が最高です。なぜなら、クレーブスサイクルの働きを順調にするアミノ酸の含有量が、他の酢とくらべると圧倒的に多いからです。
 さらに、酢には食塩やしょうゆとはくらべものにならない強い殺菌作用があり、そのため酢漬けやマリネなど保存料理に使われるのです。しかしこの場合、酢が水分で薄められると殺菌作用が低下するので、注意しなければなりません。
 酢のこのような強い殺菌作用を利用して、水虫の治療用に、あたためた酢を使って、よい結果を得ている人もあります。

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