アルツハイマー病と加味温胆湯のことなら家庭の中医学。漢方薬の処方解説は家庭の中医学が参考になります。  
漢方薬一覧中医漢方処方解説
中医生薬解説
コンビニ漢方
症状から見た
中医用語解説
無料漢方相談
免責
リンク
著作権
 
アルツハイマー病と加味温胆湯

アルツハイマー病と加味温胆湯

   
1 アルツハイマーと中医学
  中医学では、気血が「心」に十分行きわたるように運行されることが重要です。それが、何らかの理由で運行が阻害された場合、神明が不安定になります。「神明」とは、解りやすく考えると「意識」です。東北大医学部と北里大学研究所の共同研究で18例中3例の著効があってその中の一人がテレビ出演して今回の加味温胆湯の騒ぎが始まりました。今回の「加味温胆湯」が最も効いたのは、投薬期間が4から6週間の人でした。この位置で、効果が出るということは、虚の痴呆ではなく、実の痴呆と考えられます。つまり、病気の原因である障害(実邪)を取り除くことがうまく行われたから短期で効果が出たものと考えられます。

私見ですが、もともと水分代謝が悪かった人が、高齢と老化によって湿が痰に変化しその痰が心の運行障害を起こし脳の血流を邪魔したために痴呆になり、加味温胆湯の効能である化痰の力によって効果が出始めたのだ思います。
2 痴呆と中医学
  中医学的に痴呆は、心が主る神明が不安定であると考えます。神明が不安定になっているので、それをどうすれば安定させることができるかということが、痴呆の治療法になります。中医学では、気血が心に十分行きわたるように運行されることが重要で、安定した状態になれば神明が安定しているということになります。
原因としては、心血が不足する(虚)気血が心に送られるときに何かによって傷害される(実)のどちらかです。
3 中医学分類
  痰濁乗心・・・これは痰濁が心に乗って心の働きを障害するということです。痰濁が気血の運行を障害するので心に栄養(気血)が行きわたらなくなり神明が安定しない状態になってくるということです。これが、普通であれば、不眠・動悸がするとかの症状で治まっているものが、重傷になると意識までもがおかしくなってきてしまいます。

痴呆の原因が痰濁であるということは、体格的には痩せている人より肥満傾向にある人が多いと思います。痩せている人に痰濁がないと断言できませんが、一般的には肥満タイプが多いかと思います。次に、多痰である人にも多いはずです。特に老人は多痰です。朝起床後に痰が多くでるのは要注意だと思います。

意識障害について・・痰になる前は、湿です。湿は、気の運行を阻滞するという病理があります。つまり湿は気が正常に運行するのを邪魔するということです。手の指が動くというのは、気のひとつである推動作用によって動かされています。指がリュウマチなどでこわばって動かないということは、湿に妨げられたために気の運行ができなくなってしまったということです。

例えば、湿度が高い季節に水分をとりすぎると水分の放散がうまくできずにその湿によって気の運行が邪魔され気のめぐりが悪くなり体がだるくなります。気虚で疲れる人もありますが湿という水分代謝が悪いと気のめぐりが悪くなり疲れてきます。そして、やる気がなくなります。これらに対応する処方は、補中益気湯ではなく、「霍香正気散」「胃苓湯」などで湿をとる除くことで気をめぐらせる治療をします。
4 最初は当帰芍薬散
  一番最初に「アルツハイマーに漢方薬がよい」という騒ぎになったのは、当帰芍薬散です。それは10年ほど前 北大医学部の研究発表からで、4年ぐらい経過して「温清飲」の臨床治験が発表されました。これらの処方は「痰濁乗心」のタイプではありません。

血虚肝鬱のタイプに効果があったと考えられます。体格的には、肥満よりも痩せている人の方が多いと思います。

血虚であるために肝の疏泄作用が不十分になり肝鬱になり精神的には鬱が長引いて亢進するのでイライラ気味になりイメージ的にはわがままお年よりといった具合になります。当初は、いらいらすることから始まり血虚であるために肝にも影響を与えると同時に心にも影響を与えるので心の神明は不安定になってしまいます。しかし、同じ血虚といっても50代の人と70や80代の老人とでは、当然その質が違うわけで、痴呆の場合は、相当進行している血虚であるといえます。そのような、血の不足状態では、精神症状として「臓燥」といわれる状態とされています。
5 この臓が乾燥するというのは
  金匱要略にでてくる言葉で「産後出血が多すぎ臓腑の血もなくなって乾いて精神症状が安定しにくくなった」ことを言っています。内傷の発病因子である七情(喜・怒・思・悲・憂・驚・恐)が素直に表情としてでるのは乳幼児ですが、一定の年齢になるとそれらの情を抑るものが働いて我慢するようになります。
心血が不足して「臓燥」になると自制が効かなくなり勝手な行動をしてしまいます。日本の漢方家の多くは、この「臓燥」をヒステリーと訳していますが、違うと思います。本来は心の血虚による感情のノーブレーキ状態をいっています。もともとイライラのあった人が記憶がおかしくなって子どもみたいに感情の抑制が効かなくなり痴呆状態になったのが、アルツハイマーだと考えられます。
6 血虚型の治療
  早期に血を産むことをする

甘麦大棗湯が臓燥の代表方剤ですが、この方剤では不十分だと思います。「逍遥散」をあわせたほうが良いと思います。
当帰芍薬散温清飲を服用して効果があったとかつて言っていたのは、肝や脾が原因の血虚の方剤として使っていたからだと思います

Copyright (C) 2001 sm-sun.com All Rights Reserved.