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不安神経症と漢方治療

パニック障害と加味帰脾湯

加味帰脾湯く済生全書〉
かみきひとう
[組成]
加味帰脾湯:黄耆・蒼朮・酸棗仁・人参・茯苓・竜眼肉・柴胡各3;当帰・大棗・遠志・牡丹皮・梔子各2;乾生姜1.5;木香・甘草各2

[効能]
補気健脾・補血安神・疏肝清熱

[処方解説]
1・人参・黄耆・白朮・茯苓・炙甘草は、全身の機能を高め代謝を促進し、消化吸収を強め、元気をつけ疲労感を除き抵抗力を増す(補気 健脾)。たんばく合成・造血・免疫能増掛こ働く。
 白朮・茯苓は、組織中や消化管内の余剰の水分を血中に引き込んで利尿によって除く。
2・当帰・竜眼肉・酸棗仁・遠志は、栄養物を含み、体を栄養・滋潤する(補血)。
3・竜眼肉・酸棗仁・遠志・茯苓は、鎮静・催眠作用をもち不安感・焦躁感を除く(安神)。当帰・自戒・大束も鎮静に働く。
4。人参・黄耆・五味子は、脳の興奮性を高める。
5・木香・生姜は、胃腸の嬬動を強めて消化吸収を補助し、止嘔・止瀉にも働く。
6。柴胡・山梔子は、精神的ストレスによる緊張・抑うつ感・いらいら・のぼせ・ほてりなどを鎮静させ、自律神経系の緊張や亢進を緩解さ
 せる(疏肝清熱)。
7・全体で、代謝や機能を促進して止血因子の補充や血管平滑筋の緊張を高めることにより、出血を防止する。
(参考)
本方は、元気をつけ消化吸収を強める補気健脾の薬物と、精神安定・栄養補給の補血安神薬の配合による「気血双補」の処方で、さらに精神的ストレスを解消する疏肝の薬物が配合されている。精神的ストレスにともなう「気血両虚」の状態に適している。

[応用]
疲れやすい・倦怠無力感・元気がない・日中に眠い・夜は寝つきが悪い・食欲不振・軟便~水様便などの症候(牌胃気虚)と、健忘・頭が
ふらつく・動惇・眠りが浅い・すぐに目がさめる・多夢・不安感などの症候(心血虚)に、いらいら・緊張感・のぼせ・ほてりなどの症候
(肝欝化火)をともなう以下の状況。

1。自律神経失調症・不安神経症・心臓神経症・更年期症候群・健忘症・不眠症など。
2。慢性胃腸炎・神経性胃炎など。
3。貧血症・低たんばく血症など。
4。病後・慢性疾患などの衰弱。
5。血小板無力症・紫斑病・不正性器出血などの慢性反復性の出血

[合方]
1。泥状~水様便が強いときは、五苓散などを合方する。
2。冷えが強いときは、人参湯などを合方する。
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