免疫とは

そもそも「疫を免れる」という意味での免疫の知識は、ずっと昔からあったようである。古代中国では天然痘から回復すると再びかからないことが知られていたようで、このことをまねて悲惨な被害を与える天然痘にかからせないようにと、患者の痴皮(かさぶた)を使ってわざと感染させる試み(人痘接種法)がすでに行われていたといわれます。しかし、この経験から生まれた「免疫」の知恵は多くの危険性をもち、18世紀も終になってイギリスのジュンナ一によりはじめて「天然痘を免れる」安全な方法が確立されました。
 開業医であったジュンナーは修行中の若い日に、牧場などで牛の病気である牛痘にかかったことのある人は天然痘にかからないという話を聞き、後にそれが本当であることを証明して1798年に種痘法を世に出しました。

最後の治療法として期待され注目を集めてきているのが、免疫療法といわれるものです。この免疫療法は免疫療法の仕方によっては、後遺症や副作用心配も少なく、とても安全である上に、病気の治療に必要な免疫力を高め、集学的療法を助長し、多大な効果も期待できるものです。

免疫療法とは、一言で言うと体の免疫機構を賦活して、体内に侵入してきた異物や体内での有害物質など、例えば癌細胞に対抗しようという機能や、機能の減弱した細胞・組織を活性化して生体を正常化していこうとするものです。
免疫機能とは、体内から異物を排除し、正常化しようとする自己防衛機能のことです。
癌は、私たちの体にもともと備わっている自己防衛機能、いわゆる免疫力が低下したときに発生しやすいものといえるのです。実は、私たちの体の中では、毎日のようにあちこちで異常細胞が発生したり、異物の侵入が繰り返されているのですが、免疫システムがそれを成長・繁殖する前に死滅させたりして体を守ってくれるのです。そして、この免疫力を高めて患者自身の力で生体を賦活し、これらから体を守ろうというのが免疫療法です。

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