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漢方とむくみ

慢性のむくみ

体内の水分が皮下や軟部組織の隙間にたまった状態が、むくみです。指で圧すとへこみ、しばらくするともとに戻ります。
自覚的にむくみを感じるだけの程度から、太ってみえるほどに顕著なものまでさまざまであり、局所的であったり全身的であったり、急性・慢性・反復性など、多くの異なった病態がみられます。これといった明らかな原因がみあたらずに、むくみが繰り返したり、慢性的に持続するむくみ。こちらで解説してある処方は、むくみの症状で一番相談の多い症状を解説してあります。

症状1

【症状】
軽度のむくみがくり返します。自律神経失調症の症状が出ます。イライラ・口が苦い・めまい・だるい・排尿困難など多様な症状が現れます。

【治療法】
肝臓の働きをよくし、水分代謝をよくする治療をします。

【処方】
柴苓湯(小柴胡湯五苓散
心配事や緊張・ストレス・精神不安定のため、消化器の働きが悪くなり、同時に腎の働きも影響を受け、排尿の調節がうまく行われなくなります。柴胡は肝機能を高める働きがあります。また、精神を安定させる働きがあります。柴胡は黄芩とともに胸部の熱を冷まし、血液の循環を良くします。人参は胃腸の働きを良くし、消化器に停滞した水分を取り除きます。人参は半夏・生姜・甘草ともに血液や水分の流れを良くし、むくみを改善します。

症状2

【症状】
下半身のむくみ、体がだるい・吐き気・お腹が張るなどの症状が現れます。口が渇き、排尿が遠くなります。人によっては、痛みを伴わない水下痢の症状があります。

【治療法】停滞している水分を正常に流通させたり尿として排泄させたりする治療をします。

【処方】
五苓散
胃に熱があるため軽くのどが渇きます。腎や膀胱にも熱があるために体内の水分が尿として出ず、体表部に停滞しむくみの症状が現れます。猪苓で胃の熱を冷まし、のどの乾きを止めます。茯苓・白朮で体表部に停滞している水分を温めて動きやすくし、膀胱に送り出します。沢瀉の膀胱の熱を冷ます働きで送られてきた水分を尿として流し、体内の水分代謝をよくしてむくみなどの症状を取り去ります。

症状3

【症状】
下半身のむくみ・食欲不振・疲れる・体がだるい・吐き気・嘔吐などの症状が現れます。

【治療法】
消化器の働きをよくしながら水分代謝をよくし、体を元気にしながら尿の排出の力をつける治療をします。

【処方】
防已黄耆湯
身体の体表部の働きが悪く水分代謝がうまく行われず、身体の水分が消化器に滞りそれがむくみとして現れたり体が重だるくなったりします。防已・黄耆で体表部付近に停滞している水分を取り除きます。生姜で消化器に滞っている水分を温め動きやすくします。白朮・甘草で消化器に滞った水分を尿として流し、水分代謝をととのえむくみを改善します。

症状4

【症状】むくみ、顔色が悪い・肌につやがない・月経の遅れ・下半身のしびれ感などの症状が現れます。

【治療法】
栄養・循環状態を改善しながら、水分代謝の力をつける治療をします。

【処方】
当帰芍薬散
貧血・冷えの為、腎や膀胱付近の血液循環が悪くなりその働きが低下した為にむくみが生じます。当帰・川芎は血の冷えを温め造血をはかる働きを持っています。芍薬とともに血液の働きを増します。茯苓・白朮で冷えやむくみなどの原因となる体内の余分な水分を尿として流すことによりむくみやを改善します。

症状5

【症状】
下半身のむくみ、夜間排尿・手足の冷え・腰や膝がだるいなの症状が現れます。治療法・・・・・体を温めて活力をつけます。そして水分の流通と排泄を強める治療をします。

【処方】
八味地黄丸
老化とともに腎・膀胱の働きが弱まって、水分代謝が悪くなり尿に異常を生じたり、血液の循環も悪いためのどが乾いたり脱力感を生じたりします。地黄・牡丹皮で血液の循環を良くします。茯苓・沢瀉で水分代謝を良くしてのどの乾きを止めます。山茱萸で、腎の働きを良くし、排尿の異常をととのえます。附子・桂皮で身体を温め、水分代謝を良くし、むくみを改善します。