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  耳鳴りと漢方治療

漢方(中医学)で考える耳鳴りのメカニズム


耳は、非常に精密な感覚器です。それだけに、ちょっとした原因で耳鳴りや難聴といった症状が起こりやすいともいえます。ところが、音の聞こえるしくみはわかっていても、耳鳴りがどうして起こるのかについては、あまり解明されていません。
漢方(中医学)で考える耳鳴りのメカニズム
急性の耳鳴り
慢性の耳鳴り
耳鳴りに滋腎通耳湯
   
1 中医学で考える耳鳴りのメカニズム
  耳鳴りのメカニズムには2つのタイプがある  中医学では、外から侵入したり体内で生まれた病因物質(「邪」)によって耳の感覚が妨げられたり、内臓の機能がおとろえ、全身の活動に必要な基本物質(「精・気・血・津液」)が不足することによって、耳が正常に機能することができなくなるために、耳鳴りが起こると考えます。病因物質によって起こる耳鳴りは「実」、基本物質の不足によって起こる耳鳴りは「虚」といい、大きく2つのタイプに分けます。
 実の耳鳴りは突然起こることが多く、音も大きく、熱性の症状をともなうなど、激しいのが特徴で、どちらかというと若い人によくみられます。これに対して、虚の耳鳴りは、徐々に始まり、かすかな音が断続的に聞こえるのが特徴で、中高年人によくみられます。しかし、病因物質が侵入したり生まれるのは、もともと内臓の機能がおとろえていたり乱れて、体調が低下しているからです(虚)。そういう意味では、実の耳鳴りのほとんどは、直接的には病因物質によって起こっていても、根本的な原因は内臓機能のおとろえにある「本虚標実」のタイプといえます。またこの虚は、ほとんどの場合、「腎気(腎の精と気)」のおとろえ(「腎虚」)と密接に関係しています。
 なお、中医学では、耳鳴りと難聴は同じメカニズムで起こると考えます。耳鳴りは難聴の程度の軽いものであり、耳鳴りが進むと難聴になります。
2 からだの活動は5つの内臓を中心に行われる
  中医学では、ものごとには物質的な要素である「陰」と、機能的な要素である「陽」があると考え、これにしたがって精・血・津液を陰に、気を陽に分けています。
 からだの活動は、「五臓(腎・肝・心・脾・肺)」の陰と陽が平衡し、助けあい、制約しあいながら発展することによって行われます。五臓をはじめ、「六臓(膀胱・胆・小腸・胃・大腸・三焦)」やそのほかの器官、組織などが正常に働くためには、滋養やうるおいを供給する基本物質(陰)が十分にあり、しかも正常に働かなければなりません(陽)。この陰と陽を合わせたものが「正気」で、病因物質(邪)を除き、病気を治すために基本機能です。
 精は成長や発育、成熟、老化といった、生命エネルギーのおおもとになる基本物質であると同時に、気・血・津液につくり変えられて正気の基礎になります。精は、両親から受け継いだ「先天の精」と、飲食物が脾胃で消化吸収されたのちに五臓の働きによってできる「後天の精」からなり、腎にたくわえられます。また、気は生理機能、血は滋養物質、津液は正常な水液で、飲食物からつくられたり、精からつくり変えられてできます。反対に、気・血・津液の精選された部分は精となって腎にたくわえられます。
3 耳は、すべての内臓とつながっている
  耳や目などの感覚器は、それぞれ五臓の機能と密接に関係し、耳は腎と最も関連が深いと考えられています。また、骨や髄は精からつくられ、髄が集まって脳ができるという考え方から、感覚器とつながる脳も、腎と密接に関係しているといえます。
 一方、全身には、基本物質の道路網である「経絡」が無数に張りめぐらされています。「経」は太いもので、細いものが「絡」です。最も太い12の経を「十二経脈」といい、それぞれひとつの臓や腑と直接つながっています。耳は経脈によって腎と直接つながっており、腎から基本物質(精・気・血・津液)を受けて機能しています。腎が正常に機能すれば耳もよく聞こえるのです。さらに「耳はすべての脈が集まるところである」といわれるように、耳にはそのほかの経脈も通じていたり、すぐ近くを通っています。したがって、腎以外の内臓の状態も耳の機能に影響するといえます。
 ですから、腎の機能が異常になることはもちろん、そのほかの内臓の機能が異常になった場合にも、精や気、血や津液が不足して耳が栄養不良の状態となり、耳鳴りが起こる可能性があります。また、侵入したり体内で生まれた病因物質(邪)が経脈をふさぐと、耳鳴りが起こります。しかし、どのようなメカニズムで起こるとしても、ほとんどの耳鳴りは、腎の機能のおとろえが前提条件になります。
 経脈をふさいで実の耳鳴りを引き起こす主な病因物質は「風」「火」「痰」「血瘀」です。風は外から侵入することが多く、そのほかの病因物質の多くは、体内で生まれます。一方、栄養不足による虚の耳鳴りの原因となるものには「腎陰虚」や「腎陽虚」といった腎の病変のほか、ほかの内臓に影響して起こる「肝腎陰虚」や「脾胃気虚」「気血両虚」などがあります。腎がおとろえる原因には、虚弱体質や老化、慢性病による基本物質の消耗、過労、飲食の不摂生、過度のセックスなどがあり、これらによって精が不足することが耳鳴りにつながります。

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