婦人科

子宮筋腫・・・子宮の異常

子宮の炎症性の病気 子宮の腫瘍

子宮筋腫はだれにでもよく知られた腫瘍で、下腹の具合が悪いと、成人女性ではすぐに「筋腫でもできたのかしら」と、最初にその病名をあげるくらいです。
そのほんとうの原因はまだわかっていませんが、子宮筋の筋細胞から発生してくるものであると考えられています。最初、筋腫芽として始まり、それがだんだん肥大増殖していき、筋腫結節に発育してきます。
筋腫芽は、必ずしも一個ではなくて、数個かそれ以上の数が散在しているもので、ときには、多数の筋腫結節がお互いに融合して、一個の結節になる場合もあるのです。結節を形成している筋細胞は、次第に増殖して大きな筋腫に発育していくのです。
発育の速度は、一般には非常にゆるやかで、かなりの年月をかけて大きく成長していきます。しかし、筋腫の中に血管が多数入り込んで栄養の行き届く種類のものでは、比較的速く成長する傾向にあります。
筋腫の発育は、卵巣の働きとも密接な関係があって、特に卵胞ホルモン(エストロゲン)は、その増殖を促進する働きがあると考えられています。
実際に、更年期以後(閉経以後)では、発育が止まってきて、年とともに萎縮する傾向にあります。
筋腫が発生する場所は、子宮体部と、子宮頸部ですが、その九〇%異常は子宮体部にできるものです。ですから子宮筋腫の大部分は、子宮体部筋腫といえるでしょう。
また、子宮体部でも発生場所の子宮の層によって区別されます。子宮の表面近くにできる漿膜下筋腫、子宮筋層内にできる筋層内筋腫(壁内筋腫)、子宮の内腔近くにできる粘膜下筋腫などです。発生する場所と、層によってそれぞれ異なった症状をあらわすのです。
筋腫の性状は、こりこりしたかたいこぶで、結節の原形は球状をしています。非常に強靱で、かなりかたい弾力性のあるこぶで、色は白色に近く、光沢さえあります。そして結節自体の表面はなめらかで、結節を包んでいる外被との境界がはっきりしているために、くるりと結節だけを取り出すことができます。
子宮への影響は、筋腫の発生部位や、筋腫の数や大きさによって違ってきます。漿膜下筋腫の場合は、子宮体の形はほとんど変わりませんが、子宮体の外側に飛び出したこぶに触れます。その数が多いときには、子宮の表面全体が八頭のような形になってしまいます。
子宮自体の形が一番変形するのは、筋層内筋腫の場合で、筋腫の数が多いときや筋腫自身が大きくなったときには、子宮の形はでこぼこになってしまいます。
子宮粘膜下(子宮内腔側)にできた場合(粘膜下筋腫)は、子宮腔内で大きく発育する形になるので、子宮は全体として大きくなり妊娠子宮のようになってきます。
子宮頸部筋腫の場合は、それが大きくなると外子宮口から膣のほうへ押し出されてきます。筋腫が娩出されているような形になるので、筋腫分娩といわれます。
筋層内筋腫や、粘膜下筋腫がある場合は、筋腫の位置にもよりますが、大きくなるにつれて子宮の内腔も形や大きさが変わってきます。このような場合には筋腫による月経の異常(過多月経)が起こってくるのです。
だれでも一番心配になることは、筋腫自体が良性でも、いずれそれがガンになるのではないかということでしょう。子宮筋腫に併発するガンは、文献によるとおよそ三%ぐらいだとされています。これは、筋腫も何もない子宮に発生するガンの率よりも、筋腫子宮に併発する体ガンの割合のほうが多いのです。また、肉腫との合併も比較的多く、ガンとの合併とほぼ同じくらいだといわれております。
子宮筋腫の発生しやすい年齢は、統計的にみますと、四〇〜五〇歳が最も多く、次に三〇〜四〇歳。五〇〜六〇歳と二〇〜三〇歳がほとんど同数で、六〇歳以上、二〇歳以下では、ほとんどみられないものです。三〇〜五〇歳までの女性の約二〇%は、筋腫を持っているといわれるくらい、多い腫瘍なのです。

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