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木香

生薬情報目次

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木香(もっこう)

インドモッコウSaussureae lappa Clarke(キク科Compositae)の根を乾燥したもの。その他、中国ではウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)のAristolochia debilis Sieb. et Zucc.、A. contorta Bungeの根を青木香、キク科(Compositae)Vladimiria souliei (Franch.) Lingの根を川木香、同科オオグルマInula helenium L.の根を土木香と称している
(補)青木香はアリストロキア酸(腎毒性成分)を含むので要注意。インドモッコウはワシントン条約の適用を受ける希少種であるので、代用品の使用が大半となりつつある

【出典】 神農本草経 上品
【別名】 唐木香(トウモッコウ)、雲木香(ウンモッコウ)、広木香(コウモッコウ)
【成分】 精油のコスタスラクトン(costus lactone)、saussurea lactone、dehydrocostus lactone、イヌリンなど
【効能】 芳香性健胃、整腸、利尿、抗菌
【薬理作用】 行気止痛
整腸によって疼痛・下痢を止める。
抗菌・抗真菌作用、整腸・止痛・腸蠕動促進作用
【臨床応用】 腹痛・下痢に対する常用薬である。
腹痛に用いる。胃腸の蠕動を正常化する(行気滞)ので、消化不良や寄生虫による腹部膨満・脹った痛みに効果がある。消化不良に使用すると、消化を促進して食欲をまし(醒脾開胃)・痛みを止める。不消化物の停滞(食滞)により嘔吐・下痢するときに用いる。寄生虫による腹痛には、駆虫の方剤に木香を加える。
赤痢・細菌性下痢に用いる。裏急後重・腹が脹って苦しいなどの症状に適している。一般にワイ木香の方がよいとされているが、そのままでも有効である。出血性下痢・裏急後重などの症状(細菌性下痢など)に使用する。下痢に対する方剤に木香1.5~3gを加えると、止痛・止瀉作用が強くなる。
湿疹に対し使用することもある。これは木香の去湿の効能を利用するのである。
このほか、補益剤に木香を加えると消化機能を促進するので、補益薬のしつこさが減って吸収されやすくなる。
【性味】 味は辛・苦、性は温
【帰経】 脾・大腸経
【処方】 加味帰脾湯、 参蘇飲
【用量】 1.5~9g。丸・散には半量。
【使用上の注意】 口乾・水が飲みたい・便秘などの燥熱の症状があるときには木香を使用しない。一般には陰虚血熱には使用してはならないが、どうしても用いる必要があるときには益気滋陰薬を配合して木香の辛燥性をやわらげるべきである。
木香を補益剤に入れるときには、後から入れて煎服すべきである。行気導滞・止痛・止瀉には粉末を使用した方がよい(粉末の方が作用が強い)。
【産地】 インド北部、中国
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