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更年期障害・・・女性の為の婦人科サイト

更年期になると、個人差はあってもさまざまな肉体的、精神的障害があらわれてきます。これを更年期障害といいます。更年期は、四〇歳の半ばから五〇歳過ぎまでの時期をさすのですが、更年期障害の出る時期は人によって違うし、障害の出方の程度も人によってさまざまです。しかし、この時期には必ず月経の閉止、つまり閉経というはっきりとした生理的変化がみられます。

更年期障害の原因

更年期という時期には、必ず月経の閉止を伴います。また、逆にいえば月経閉止の前後を更年期というのですが、障害というのは、月経の閉止をきたす原因、つまり卵巣の働きに変調をきたしてくることから起こってくるのです。
卵巣からバランスよく分泌されていた卵胞ホルモンと黄体ホルモンは、卵巣の老化に伴って、生産されなくなってしまうのです。一方、下垂体前葉は今までどおり働いているので、働かなくなった卵巣に対して、その機能を回復させるべく、なおいっそう刺激を送ることになってしまいます。
その結果、間脳、下垂体、卵巣といった一連の調和のとれたつながりに狂いが生じてしまいます。そして、それに隣り合わせの、自律神経の中枢にまでさようが及んでしまう結果、自律神経失調症といった症状が出てくるのです。この自律神経失調症状が、更年期障害といわれるものなのです。

症状

症状は不定愁訴といわれるように多種多様で、その程度も人によってまちまちです。ごく一部の人では、何も気づかないままに穏やかに更年期を過ごしてしまう人もあります。症状のあらわれ方には、卵巣から分泌されるホルモンの欠乏からくる身体的な(特に性器)症状と、自律神経の失調からくる性器外の全身的な症状があります。

性器にあらわれてくる症状

それまで規則的だった月経が不順になってきます。間隔が狭まってきたり、ときには二か月もなかったりすることもあります。また、月経の量にも変化があらわれて、次第に少なくなってくるとはかぎらず、ときには驚くほど量が多かったかと思うと、ほんの少し汚れるだけというときもあります。
ホルモンの分泌が少なくなるにつれて、性器に萎縮が起こってきます。その結果、萎縮性膣炎や老人性膣炎といわれる炎症が起きて、黄色いおりものが多くなったり、ときには、おりものに血が混じったりすることもあります。また、痛くて性交がうまくいかなくなるのも、性器が萎縮して炎症を起こしてくるからなのです。ときには、外陰部がかゆくなったりすることもあります。
更年期出血ともいわれるもので、ときならぬときに出血を見ることがあります。子宮ガンではないかと心配になるのもこの種の出血です。
女性ホルモンの欠乏は、性器だけではなく、骨盤内の靱帯や膀胱粘膜などの弾力性もなくしてしまい膀胱脱、直腸脱、子宮脱を起こす原因になります。また、排尿回数が増えたり、膀胱炎症状を起こしやすくもなります。

性器外の症状(不定愁訴)

更年期にさしかかる年代の女性(男性も同じですが)をとりまく環境は、社会の第一戦で活躍している人も、家庭の主婦の場合でも、実際的にも精神的にも、かなり複雑で困難な問題に直面することが多くなってくる年代です。体の変調に、これら外からの複雑な因子が加わると、いっそう更年期障害の程度もひどくなり、症状のあらわれ方も複雑になってきて、極端な場合は精神科まで訪れる人があるほどです。一般によく訴えられる症状は、のぼせ、肩こり、頭痛、腰痛、耳鳴り、動悸、不眠、不安感など、多種多様です。これらの症状は、内科に行って検査をしてもらっても、「異常なし」、神経科に行っても、「自律神経失調症だから安定剤でも飲みなさい」といわれるくらいだし、婦人科でさえも、「病気ではない、時期がくればなおる」といって無視されてきたものです。

治療

確かに、更年期という一つの変動の時期が過ぎると症状はおさまってくるものです。しかし、たとえ一週間でも苦痛を我慢するということは大変なことなのに、二,三年から数年、さまざまな症状に悩まされながらなすこともなく過ごすということは、悪くいけば、その間に人格まで変わってしまうということもあり得るのです。適切なホルモン療法で、快適に切り抜けることもできます。自分で心がけることは、一人で思い悩んで孤独感に陥らないこと、疲れやストレスを持ち越さないこと、規則正しい生活をすること、できるだけ穏やかな精神状態を保てるように努力することなどでしょう。

「ホルモン補充療法」について
女性ホルモンの低下に伴って起きてくるいろいろな症状や疾患を予防・治療しようという目的で、「ホルモン補充療法」が中高年女性の医療や更年期医療に取り入れられています。また、日常生活に差し支えるような更年期障害に対する治療の一つでもあります。「ホルモン補充療法」には、医師の判断と慎重な管理が必要です。

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