腎陽が不足する腎陰虚の治療には八味地黄丸や牛車腎気丸
腎の陽気(「腎陽」)は、腎精をもとにつくられ、体を温め養う熱エネルギーの源です。水分を温めて蒸気のようにつくりかえ、からだに必要な水分を肺を通じて全身に送りだすとともに、不要な水分を膀胱を通じて排泄し、全身の水分代謝を円滑にします。
先天的な体質虚弱や慢性病、老化などが原因で、腎の働きがおとろえ、腎陽が慢性的に不足する「腎陽虚」の状態になると、水分を蒸化することができず、水がたまるようになります。これが眼底細胞や硝子体をうるおす体液にあたる「神水」や「神膏」の過剰や不足をひきおこすと、硝子体混濁や網膜剥離などの病気がおこります。また、高齢者によくみられる、冷たい涙が出やすかったり、涙が鼻に流れ込んで鼻水が出やすいという症状も、腎陽が慢性的に不足するためにおこります。
腎陽虚によっておこる眼精疲労は、眼が疲れる・夜間になると暗く感じ、視力が低下する・ものがはっきりみえないといった症状としてあらわれます。また、はがれた細胞膜などが視野に入ると、黒い雲のようなものが浮いているようにみえ、斜めにみないと視野から除くことができなくなります。
また、ふだんから寒がりで、手足が冷える・温かいものを好んで飲む・夜間の尿の回数が多い・頭のふらつき・めまい・腰やひざに力が入らず、だるくうずくように痛む・手足がむくむ・舌がはれぼったくなって色が淡白になる・脈が沈遅あるいは浮大で無力などの症状をともないます。
この場合は、からだを温めて陽気を補い、腎の働きを高めて水分代謝をととのえる「八味地黄丸」や「牛車腎気丸」などで治療するといいでしょう。
|